都会のデザイナーを使うということ

兵庫県豊岡市竹野町で小さなゲストハウスとバーを営むひととまる
ウェブサイトにつづき、お店を紹介するショップカードの制作もお手伝いさせていただきました。

お話をいただいたのは、6月中旬。海開きが行われる頃に間に合わせたいということで、制作期間はおよそ2週間ほど。この短期間でできる東京のデザイナーさんのスケジュールを抑え、6月下旬に但馬に戻って打ち合わせ、そこから慌ただしくスタートしました。

ひととまるでヒアリングをした後、東京に戻り早速デザイナーさんと打ち合わせ。話をしていく中でデザイナーさんから出てきた言葉は、こうでした。

「ひととまる100%ジュースみたいなものにしたいので、私は濃縮還元の水程度の役割ができればと思っています」

ひととまるは、その建物をはじめ、机や棚、看板に至るまでほとんどを自分たちで作りあげました。そうした経緯や想いを汲み取ってくれたからこそ、こうした提案をしてくださったんだと思います。

ウェブサイトに使われているイラストは、ご夫婦に描いてもらったもの。こちらを最大限活かしてもらいながら、足りないものは新たに描き起こしてもらったり、調整してもらったりしながら、この場所や雰囲気が伝わるような仕上がりになったと思います。

ショップカードもホームページもチラシも、基本的にはお願いする人が近くに住んでいてすぐにコミュニケーションが取れる方がいいと個人的には思っています。でも、豊岡市内でそういったことを生業とされている人は限られてしまい、どうしても依頼するところが被ってしまい似たり寄ったりなもので溢れているのが事実です。もちろん但馬にも優れた技術を持っている方はいて、スキルがないということではなく発注する側の選択肢が少ないということです。

今回のひととまるのショップカードは、この場所に来たことも、運営するご夫婦にも会ったこともないデザイナーさんでした。それでも、この場所ができた経緯や雰囲気、周辺の様子までもがしっかりと伝わるようにすることが、ぼくの仕事なのかなと思います。それによって依頼する側は、これまで限られていた選択肢から抜け出し、他社や他店との差別化が図れかもしれません。但馬の商品を都会で販売するのと同じように、こういった面でも但馬と東京をつないでいく。

そしてなによりも嬉しかったのは、なんでも自分たちでやってしまう二人だから、もしかしたら自分たちで作れたかもしれないにも関わらず、ちゃんとお金を払ってプロにお願いしたいと相談してきてくれたこと。これから先、もっともっとおもしろいことができる気がします。

カードはひととまるでしか手に入りません。ぜひ、ゲストハウスに泊まるか、バーで飲みに行くかした際に、ご覧になってみていただけたらと思います。

チコニアは、兵庫県北部 但馬地方のふるさとの味を届けるプロジェクトです。