若者がいない町
但馬地域の人口は、2010年で18万人ですがそのうち5万5千人の方が高齢者にあたります。
15歳~64歳までの方を、高齢者を「支える人」、65歳以上の方を若者に「支えられる人」として考えると、現時点では2人が1人の高齢者を支えている状況です。しかし、これが今のまま変わらず2025年を迎えてしまった場合、1.5人に1人の割合になり、そして2040年には1人に1人が支える割合になると予想されています。
老老世帯と呼ばれる65歳以上のご夫婦だけで住んでいる家庭が、豊岡市では約6000件あり、さらにお一人でお住いの独居老人世帯は2000件ほどにものぼります。
そして、団塊世代と呼ばれる方たちが2025年に75歳を迎え、後期高齢者が一気に増えると言われています。今はどうにか支えられていたことが、2025年、2040年がやってくるうちに、このままこの町の若い人が減り続け高齢者が増え続けていくと、とても支えられるような状態ではなくなってきてしまいます。若い人は外に出ていき、外から移住してくる若い人もごくわずか。残った人もどんどん歳をとっていくわけですから当然です。
先日、但馬にできた小規模多機能型居宅介護施設へ取材に伺ったときのことです。この業界が未経験ながらも現場で活躍されている若い方に出会いました。まだ働き始めて日は浅いということですが、勘が良く既に戦力としてなくてはならない存在になっているそうです。
こうした介護施設は地方でどんどんできている一方で、そこを運営していくための働き手の数が足りず、やむなく閉鎖をしてしまうということが起こっています。この方のように、経験のあるなしに関わらず若い方を積極的に採用する施設や企業は増え始めていて、未経験でもやる気のある方を働きながら育てていこうとされています。
田舎は仕事がない。この言葉はどこの地域に言っても耳にする言葉です。
但馬には大学がないため、高校を卒業して進学をするにはどうしても但馬を出る必要があります。そして、地元には仕事がないという理由からそのまま都会で就職してしまい、もう戻ってこないとなるパターンが多いのですが、そこには地元が抱える状況や、仕事の情報がうまく伝わっていないように思います。
但馬には若い人を求めている仕事がたくさんあります。そして都会にも但馬に帰って働きたい、住みたいと思っている人がたくさんいます。なかなか地元に帰って働きたいという人が増えないのは、きっとそこがお互いにうまくマッチしていないんだと思います。