鮮度との勝負

地元で漁師をする同級生の案内のもと、城崎温泉の少し先にある「津居山漁港」と呼ばれる漁港でセリの様子を見学をさせてもらいました。昔は釣りをするためこのあたりもよく来ていた。だから、きっと小さい頃に一度は来たことがあるんだろうけど、全く記憶にはもうなくて新鮮そのもの。

この日は、これまでの不安定な天気が嘘のような夏らしい天気。

津居山漁港には、15隻ほどの漁船があり、この時期はイカ、サザエ、アワビなどが水揚げされ、春はホタルイカや鯛、わかめ、秋はカレイ、ハタハタ、そして冬はメインとなるカニが上がってきます。

漁港を訪れた8月13日は、お盆前の最後のセリ。ここから3日ほどセリがお休みに入るということもあって、その分の仕入れをされるそうです。仕入れたお魚は、市内の飲食店などで提供されていきます。

鮮度が命の魚は、開始まで発泡スチロールの蓋が閉められていて、直前まで鮮度を大事にされています。そうして、開始のベルが鳴る頃には全ての蓋が開けられ、和やかだった雰囲気が打って変わって、活気と熱気に包まれていきます。

この日並んだお魚は、数こそ少ないものの鮮度の良さは素人が見ても分かるくらい。スーパーのそれとは全く違うことは一目瞭然。魚の目はよどんでおらず、今にも泳ぎ出しそうなほどで、傷ひとつない魚はただただ美しくて食べるのが勿体無い。こんなにも違うんだ、と驚きました。

魚の並べ方もとても丁寧にされていて、釣ってきた方の魚に対する愛や命への敬意が感じられる。但馬で食べる魚がうまいわけだ。

こうして、それぞれの方が競り落とした魚をテキパキと車に乗せ走り去っていく。車の人もいれば自転車で持ち帰る近所の人まで。それぞれがそれぞれの役目があってダラダラとしている人は誰もいない。ほんの10分くらいのセリが終わると、すぐに誰もいない静かな漁港が戻ってくる。まさに嵐のようなできごとだ。

ここで働く人たちにとっては当たり前のことでも、まるで映画や舞台を見てるような流れるような動作はとてもかっこよかった。

チコニアは、兵庫県北部 但馬地方のふるさとの味を届けるプロジェクトです。