地元の横のつながり

チコニア商店をはじめとした但馬での活動は、たった一人でスタートしました。それがいつしか協力してくれる出身者の人や、活動を知って応援してくれたり声をかけてくれる地元の人が徐々に増えてきました。

先日行った豊岡市竹野町にあるお醤油屋である「しょうゆの花房」さんの取材では、東京でライターとして働く同級生や、地域おこし協力隊をはじめとして地元で地域を盛り上げようとするメンバーと一緒に工場見学をさせてもらいました。

いつもは一人で取材に訪れるので、こうして誰かと一緒に行くのは不思議な感じもしますが、取材先の方もなんだかいつもより楽しそうで、取材後に撮影させていただいた写真を見てもリラックスされていることが表情から伝わってきます。きっと地元の仲間もいてくれたからだと思います。おかげでとても良い写真を撮ることができました。ありがとうございます。

今でこそつながりができはじめた但馬での活動ですが、始めた当初もっとも苦戦したのが、コミュニティが広がっていかなかったことです。地元の人同士があまりつながりを持っておらず、紹介からつながっていくということがほとんどありませんでした。

よく地元だから動きやすいと思われることがあるのですが、但馬を離れて10年以上経っていると気軽に連絡を取れる知り合いも少なくよそ者と変わりません。だから、知らないところへのアプローチには苦戦しました。

また、漠然とした考えしかない段階で、とりあえず誰かに話を聞いてみたいとか、情報収集したいという場合も、但馬ではコミュニティとなる場所がほとんどなく、これは移住したい人や帰ってきたい人にとっては大きなハードルになっているように思います。実際、ぼくらが帰省してもふらっと行ける場所や、約束せずに誰かに出会える場所は知っている限りありません。

オシャレな場所やお店は増えている一方で、コミュニティとなって人が集まるカフェやスペースが生まれていない現状があり、この活動を始めた当初、どこに話を聞きに行ったらいいのか、誰を頼ったらいいのかが分かりませんでした。

話してみたい人はいてもいきなり連絡すると怪しまれるし、帰省の時期は基本的に連休なのでお店や会社はお休み。個人的に会ってくれる人もごくわずかでした。だから、休みの日でも会ってくださる方、取材に協力してくれる方には本当に感謝しかありません。

なかなかコミュニティが広がらなかった時に、いろいろな人とつながるきっかけになったのが、東京に住む但馬出身の方々とやっていた飲み会「たじまゆかりの会」。

もともとそういったつながりができればと思って始めたことでしたが、まさにその思惑通りこの会に来てくださった方が、地元にはこんな人がいるよとか、説明しておいてあげるから今度帰ったら行ってみたらいいよって言ってくださって、輪が徐々に広がっていきました。中にはこれから但馬で起業するといった方まで参加してくださって、今でもその会社とは一緒にお仕事をさせていただくまでになりました。

今更、つながりを持ちたくないって人も多いかもしれませんが、少しでもUターンなど地元に帰ることを考えている方は、つながりを作っておいて損はないと思います。そして、地元のつながりって案外いいものです。つながればつながるほど、特にそう感じます。

チコニアは、兵庫県北部 但馬地方のふるさとの味を届けるプロジェクトです。