海の近くの仕事
竹野の地域おこし協力隊の一人である小谷さんの案内で、竹野港のせりを見学させてもらうため、港を訪れました。
近くの旅館や飲食店を営む方が、魚の仕入れにこの漁協のせりを目当てにやってきます。
夕方16時。
到着した時は静かだった港は、次々と車がやってくるのと合わせて、大きなチャイムの音と漁協の仲買人の威勢のよい掛け声が場内に響き渡ります。
近隣にある香住港、津居山港、柴山港のようなカニが大量に上がる漁港とは違い、竹野港は定置網漁がメイン。年間100種類以上もの魚介類が水揚げされますが、カニを取る漁港に比べると売上は圧倒的に少なく、港としての存続が危ぶまれる時期もあったそうです。
しかし、ここ数年はこの地域に配属された地域おこし協力隊とも連携して、毎週一度地域の方がお魚をここで買って食べられるようにと鮮魚市を行うなど、存続に向けての取り組みが行われています。
この日は、漁協のご好意でいただいたブリを、近くのゲストハウス「ひととまる」にていただきましたが、その日に取った魚の新鮮さは、ただただ感動するばかり。この町で暮らす特権。
但馬で生まれ育ったにも関わらず、せりがこうやって行われていることも、どんな人が魚を取ってそこからどうやってお店に流通しているかも、そしてこんな仕事があることも、この地を離れて暮らす今になって初めて知りました。
こっちに住んでた時に、知りたかったな。
但馬を離れて働く若い人が多い背景には、但馬の仕事を知らないということも大きいように思います。それこそ海も山もあるこの地域の仕事は多様です。だから若い人がもっと仕事を知るきっかけが増えれば、働く選択肢として十分選ばれるはずです。きっとこういった魅力的な仕事が但馬にはもっとたくさんあります。知られていないだけで。